「敵こそ我が友」敵の敵は敵、味方の味方も敵!愛と勇気だけが友達!

第二次大戦後、資本主義vs.共産主義の二項対立の中「西側諸国」の仲間として、表面上そこそこよろしくやっていたフランス・アメリカ・南米諸国による、謀略と不信に彩られた戦後史ドラマ。監督は「ラストキング・オブ・スコットランド」のケヴィン・マクドナルド

この作品の主役、クラウス・バルビーの略歴

ナチスSS入隊

フランスでレジスタンスを弾圧

ユダヤ人の子供を数十人アウシュビッツ送り(?)

戦後アメリカに雇われ、西ドイツで防共を目的とした工作活動を指揮

南米ボリビアに渡り、クーデターを支援。ゲバラ暗殺に関与(?)

反政府主義者をしこたま弾圧

なんというか、ゴルゴ13に10回は眉間を撃ち抜かれそうなオッサン*1である。

敵の敵は味方と思っていたら敵だったでござる」というテーマは「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」等9.11関連映画に通じるものがある。フランスで裁判にかけられたバルビーを弁護した、ベトナム系フランス人のジャック・ヴェルジェス弁護士の法廷での熱弁には心動かされた。

「何故、命令を下したものでなく、命令に従った者に責任を問うのか」

というのは、戦争に限らずしばしば議論になるけれども、それが「私は貝になりたい」的な「いやいや、しかたなくやりました。やるしかなかった」という小市民でなく、バルビーのようなやる気マンマン&超有能な人物だった場合について考えるとき、その問題はより一層複雑になる。

再来週には「我が教え子・ヒトラー」も公開。

*1:実際、南米のナチを扱った話たくさんあったよなあ