「実録・連合赤軍」カレーうまうま。

若松孝二監督「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」
ゴールデンウィークと関係がなさそうな人(爺さん婆さんと俺も含めニート臭い若者)と一緒に5月3日に鑑賞。内容が内容だけに今日が憲法記念日だということが意味深に思えます。

連合赤軍結成前からあさま山荘突入まで網羅しており、かなりのボリュームがありました。リンチ事件だけ、それも劇中劇という形で二倍に薄めていた「光の雨」と比べるとかなり見ごたえがありました。3時間があっという間。
ていうかこれが今年初めて映画館で観た邦画!!

光の雨 (新潮文庫)

光の雨 (新潮文庫)

■アカも帝国主義者もカレーライスはうまうまなのです。 

3時間スクリーンにはキモチの悪いもの、感情移入を阻害するものしか映らなかいのですが、ただ、リンチを生き延びたメンバーが山荘に残されたカレーを掻っ込むシーンだけは非常に共感できてしまい、思わずその日の晩餐をカレーにしてしまいました。終盤、クッキーの摘み食いを「反革命である」と咎められたメンバーが「クッキーに反革命もクソもあるか」と悪態を付くシーンがありますが、旨いものを喰うことくらい思想性を帯びにくい事象ないんでしょう。


■「お前のためなんだ」という幻想

総括(自己を省み、姿勢を正す)の名の元に非情なリンチを行った連合赤軍
ポア(魂を仏界に移す)の名の元に非情なリンチ&テロを行ったオウム。
俺の心も痛いんだ、俺の拳も痛いんだと叫ぶ「熱血」教師。

いやだいやだ、地獄への道を善意で敷き詰めるお手伝いだけはしないぞ!一人一人が「お前のため」でなく、自分自身のために、我侭にしっかりと具体的に他者を叱るようになれば世の中はもっと良くなるに違いないと信じてる(中島義道的な意味で)!!


■ブスの嫉妬乙

……「革命」という、それなりに高尚な目標を掲げて運動してたハズなのに、結局「学歴コンプ」「ブスの嫉妬」「ビジネスの行き詰まり」「サークル内恋愛」とか、非常に分かりやすい理由で自壊していく姿は非常にステキで心洗われます。


■地方大学出身のヒトは応援してしまう!

日本の隅っこの大学生としては、弘前大学とか岡山大学出身の活動家を応援したくなる!(この映画では、テロップで出身大学が出ます)


■達成できない目標を掲げるようになったら終わり

だと思います。六十数年前の大日本帝国とか、僕の昔のバイト先とかもそういう意味では赤軍並にヤバかったね。「ノルマ達成のためには今月前年比200%売れば大丈夫!」ってそれ全然大丈夫じゃねーよってね。あと大げさな用語を使いたがるのも痛い。郵便局強盗→M作戦とか。中二病か。


チェ・ゲバラ先生の言い付けは守りましょう。

"ゲリラにとってもっとも大切なのは、住民の圧倒的支持を得ることである"
"テロは無価値である。人民を革命から離反させ、割りに合わない人的損害を味方におよぼす"

ゲリラ戦争―キューバ革命軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)

ゲリラ戦争―キューバ革命軍の戦略・戦術 (中公文庫BIBLIO S)

伊達にTシャツのプリントになってないですね。


■言い訳は見苦しい

最後「(総括を止める)勇気がなかったんだよー」と叫ぶシーンに若干白けました(本当にそういうエピソードがあったのならごめんなさい)。足りなかったのは勇気だけじゃない――端的に言えば知恵想像力も足りなかった結果であるわけで、その反省言葉としては微妙と言わざるをえない。