「数量化革命」:カズノナイ社会

この本は「中世・ルネッサンスのヨーロッパで起きた『物事を数値化して捉える』という革命的な思想転換」について書かれた本だ。ルネッサンス?なんでこんな本を勧めるの?

それは、日本の企業の多くは全くといっていいほどビジネスを数字で捉えるという習慣がない、という驚くべき現実があるからだ。つまり、この本で書かれている「信仰的/魔術的」な「現状認識/意思決定」がまだまだ日本の企業には跋扈しており、その思考回路を理解しておかないと「魔女裁判」にかけられてしまいかねないというリスクがあるからだ。逆にいえば、ビジネスを数値化する(最近だと「見える化」なんて言い方もするね)ことだけで、驚くような改善効果がでるかもしれないということでもあるんだが。
新社会人が読んどけと思う本のリスト - I 慣性という名の惰性 I

来年新社会人になれるといいなぁ…と思いながら読みました。

数量化革命

数量化革命

700年まえ、ヨーロッパは「数のない社会」でした。
いやもちろん数を表す文字としての数字は何千年も前に発明されいましたし、幾何学やら何やらの数学的手法もそれなりに活用されていました。しかし数字や、数に基づく理論はあくまで「一部の専門家」が「必要最低限しかたなく使うもの」に過ぎなかったのです。

「数のない社会」とはどんな社会か?

まずみんな時間を数字で表す気がありません。自分の生年月日なんて(相当エライ人でも)知りません。一日の時間の区切りもテキトーです。日が登れば働き、沈めば寝るだけです。
地図の縮尺もテキトーです。地図が実際の地形と合ってるかはあまり重要じゃないのです。むしろ聖書の内容と合ってるかがポイントです。
工業製品の設計図や建築物の図面、料理のレシピにも寸法や焼き時間とか、そんな親切な情報は載ってません。詳細についてはプロの技を盗んで覚えましょう。


……そんな大らか(?)なヨーロッパ社会に突如「定量化革命」が勃発します。
何もかもを言葉とイメージで表す時代が終わり、数字とグラフが大活躍する時代がやってきたのです。
この「定量化革命」こそ、その後の「産業革命」と並び、ヨーロッパが世界を席巻する原動力となったのだ――というのが著者の主張であり、この本はその革命の切欠、進行、影響について述べたものであります。定量化と視覚化の持つパワーが、科学や産業は言うまでも無く、絵画や音楽さえも激変させる!



「西洋の社会の一体何が優れていたのか?」というのを冷静に見つめた書籍としては

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

が定番中の定番ですね。東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊で一位になってまいしたが、こういう「わりと最近話題になったベストセラー」が一位になるというのは意外に感じました。なんか「大学のセンセーも人間なんだー」と思えます。文系理系様々な分野の様々な研究者の声をミックスされるから、こういう「文理両道」な本が上位に来るは必然?
僕は社会が大好きな元科学少年。技術史/科学史がストライクゾーン♪