マイケル・ムーアこわい
シッコ……☆☆☆☆+☆
「目的の為、どんな酷い事だって出来る」
そんな人を悪魔と呼ぶなら
「目的の為ならどんな善行も出来る人」
を何と呼べばいいだろう?
自分の為なら愛する人だって傷つける者が悪魔なら、
目的達成の為なら自分を憎む相手に手を差し伸べる者は一体何者なんだ!
自分(と、自分の属する組織)の為なら心底軽蔑している相手にも親切にできる、
ニコニコ愛想を振りまける人が僕の知人にもいる。
それはきっと「圧 倒 的 に 正 し い」戦略だ。
その圧倒的なチカラは、恐ろしい。
映画「シッコ」の中で、マイケル・ムーアは親戚から
「あなたは親切だけど、素朴じゃないわ」
と言われていました。
ムーアは本当に親切です。
故郷フリントの失業者にも、銃犯罪の被害者にも、そして「9.11 の英雄」にも。
そしてちっとも素朴じゃない。
映画「シッコ」は
自然と笑い、
自然と涙がこぼれ、
自然と怒りが湧き上がり、
最後には自然と勇気が貰える、
ビックリするほど不自然な(素朴じゃない)ドキュメンタリーです。
「シッコ」ではフランスやイギリスの医療体制がさぞ素晴らしいかのように描写されてますが、
もちろんこれらの国々も酷い問題を抱えています。キューバの実情も酷いものです。
ムーアはウソツキのデブです。
しかしムーアはまがうことなき天才であり、
アメリカ合衆国の医療システムはサイテーなのです。たぶん。