失敗を恐れれば失敗する
- 作者: デーヴィドホロウェイ,David Holloway,川上洸,松本幸重
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 1997/07/01
- メディア: 単行本
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ソビエトにおける核開発についての本を読む。
上巻はロシア革命前夜から第二次世界大戦終戦直後までー。
序論一行目が
核兵器の歴史には、魅力的な面と同時に、おぞましい面もあると言われてきた。
日本人の95%くらいは「逆だろ!?」ってツッコミそうです。確かに面白いけどね、核兵器の開発史は…。
ロシア核開発史と、それを取り巻く国際政治、ソビエトの世情との相互関係、共産主義(スターリン主義)
というぶっ飛んだ特異な政治体制が、不偏不党なハズの*1物理学にどういう影響を与えたかを追う。
とりあえず同士ベリヤ活躍し過ぎ(悪い意味で)。自重しろ。
ソ連は(良く言えば)実学志向が強かったので、物理学者にも「役に立つ研究」を望む傾向が強かった。
「げんしかくだのほうしゃせんだの、目にも見えない訳の分からない研究に興じるヒマがあたっら、
とっとと溶接技術の改良とか、新型絶縁体の開発とか、そういう人民の役に立つ研究をしろ!
貴重な研究費を無駄に使う奴はシベリア送りだ!!!」
というわけ。
そんなんだから「なんかウランって爆弾になるっぽい」という意見が学者の間でホツポツ出始めてからも、
一貫してソビエトの科学者たちは「アメリカやイギリスで成功した実験」しかやらせてもらえなかった。カワイソス。
この本から一般的な教訓を引き出すとしたら、
「無駄を嫌うと無駄が出来る、失敗を恐れれば失敗する」
かも。
関連book
なぜ、ナチスは原爆製造に失敗したか〈上〉―連合国が最も恐れた男・天才ハイゼンベルクの闘い (福武文庫)
- 作者: トマスパワーズ,Thomas Powers,鈴木主税
- 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
- 発売日: 1995/08
- メディア: 文庫
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*1:ドイツ文学はあってもドイツ物理学は無い、無いハズなんだけどナチときたら…