失敗を恐れれば失敗する

スターリンと原爆〈上〉

スターリンと原爆〈上〉

ソビエトにおける核開発についての本を読む。
上巻はロシア革命前夜から第二次世界大戦終戦直後までー。

序論一行目が

核兵器の歴史には、魅力的な面と同時に、おぞましい面もあると言われてきた。

日本人の95%くらいは「逆だろ!?」ってツッコミそうです。確かに面白いけどね、核兵器の開発史は…。

ロシア核開発史と、それを取り巻く国際政治、ソビエトの世情との相互関係、共産主義スターリン主義
というぶっ飛んだ特異な政治体制が、不偏不党なハズの*1物理学にどういう影響を与えたかを追う。



とりあえず同士ベリヤ活躍し過ぎ(悪い意味で)。自重しろ。




ソ連は(良く言えば)実学志向が強かったので、物理学者にも「役に立つ研究」を望む傾向が強かった。


「げんしかくだのほうしゃせんだの、目にも見えない訳の分からない研究に興じるヒマがあたっら、
 とっとと溶接技術の改良とか、新型絶縁体の開発とか、そういう人民の役に立つ研究をしろ!
 貴重な研究費を無駄に使う奴はシベリア送りだ!!!」


というわけ。

そんなんだから「なんかウランって爆弾になるっぽい」という意見が学者の間でホツポツ出始めてからも、
一貫してソビエトの科学者たちは「アメリカやイギリスで成功した実験」しかやらせてもらえなかった。カワイソス。




この本から一般的な教訓を引き出すとしたら、

「無駄を嫌うと無駄が出来る、失敗を恐れれば失敗する」

かも。




関連book

*1:ドイツ文学はあってもドイツ物理学は無い、無いハズなんだけどナチときたら…