「ダークナイト」観ズハ人ニ非ズ?

お・・・・・・おもしれえっ
おもしろすぎる・・・っ!!

今まで俺が観てきたもんを
映画と呼ぶなら
これはもう
お映画さまさまと呼ぶしかねえっ!!*1

……というくらい面白かったです。ちょっと大げさ。でも、ちょっとだけ。だいたい本気。

ダークナイト 特別版 [DVD]

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思い返して反芻したいシーン、セリフが多過ぎて、これを1200円で見てしまうのは非常に申し訳ない気がしました。もしも映画館でなくDVDレンタル300円で観てたらレンタルで見てたらもっと申し訳ない気分になること請け合い。『ダークナイト観てない奴は、昨今の映画事情について何か語るの禁止』みたいなムードが(一部の)世間で醸し出されるのも理解できる気がします。「ダメなところさがし」をしても最後のSWAT突入シーンは何が起こってるのか分かりにくい、くらいしか思いつかない。

バットマンって、恵まれたヒーローだと思います。クリプトン星の生き残りとか、スーパースパイダーに噛まれて変異したクモ男なんかと比較すれば「ビックリドッキリメカで武装した金持ち」であるバットマンは、なんつーか「頑張ればイケそう」な感がありますし、何といっても自分の会社から有形無形のサポートを受けられます。警察、司法、経済界――華々しい『表』社会にもぶっといコネクションがあるわけで、正義の味方を気取る為の環境としてはなかなかの好条件です。
しかもゴッサムシティには、ジョーカーというという、見方によっては非常に扱いやすい、悪と混沌を象徴する一人の人間がヒールとして存在します。実際のテロリストと対峙するには、地球を半周して人様の国にしこたま爆弾を投下したり、色々と面倒な事をしなきゃなりません。が、狂人ピエロ一人を倒す事なら、金持ち一人でも何とかなりそう……なのですが、何とかならない。全然何とかならない。ここまでお膳立てされてもヒーローはヒーローとして存在できない。ヒーローの不在証明。
完全な悪がないなら、完全な善もない。ならまだ希望がある。でもダークナイトワールドは「完全な悪があってもなお完全な善はない」のだ。「カネもコネも無いのに実質一人で大規模テロを遂行できる狂人」という、ありえない仮定を世界に組み込んでもなお、「闇夜に紛れ、正義を執行するヒーロー」は存在できない。とても悲しくてやりきれない――でも、やるんだよ!という映画。